綾傘鉾の懸装品
木彫漆箔鶏(御神体)
1727年(享保12)年に制作された、傘鉾の鉾頭として使用されている雄鶏像である。巡行の際に傘の先端に取り付けられるが、宵山期間中は大原神社の社務所飾りとして、展示され訪れる人々の衆目を集めている。京都市指定文化財。
垂り 四季の花(上) / 飛天の図(下)
■四季の花(上)
綾傘鉾が復興する1979年に人間国宝森口華弘氏が制作し、寄贈されたものである。色彩の数を極端に制限しており、森口氏の提案していた「単彩の友禅染」を生かしている。■飛天の図(下)
元町内在住者より、1993年(平成5)に寄贈された、綴織の垂りと呼ばれる傘飾り幕。幕の東西南北を表すため、幕隅に楽器が柄として用いられている。飛天の図案の基になっているのは、京都市伏見区日野にある法界寺の、鎌倉時代に建てられた阿弥陀堂(国宝)内長押に描かれている壁画である。
綾傘鉾模型
元治の大火で焼失した、曳鉾時代の鉾を模して、1887(明治20)年に作られた模型である。特長であったアジロ製の屋根の形、稚児が乗っていた往時の姿を伝えている。
胴懸 黒緋羅紗継ぎ合せ縞に窠紋刺繍(前掛幕)
曳鉾時代に使われていたと考えられる胴幕。窠紋とは、瓜の断面のような文様のことを指し、有職文様の一つ。八坂神社の神紋「五瓜に唐花」にならったものであると考えられる。幕全体を、三種類の装飾で、三段に構成している。京都市指定文化財。
ふとん(帯当て)
帯を当てる際に用いられていた考えられるものであるがどこに用いられていたのかなどを含め、詳しくは不明である。京都市指定文化財。
納戸地鱗文金襴手甲
納戸色の鱗紋金襴織裂地で作られている、付き紐にも白地段文様金襴裂を利用していて、裏布に白麻をつける。江戸時代後期の制作と推定されている。棒振り・締太鼓どちらかの演者が、身に着けていたのではないかと考えられる。京都市指定文化財。
薄紅地浪牡丹唐草雲鶴文様段厚板裁着袴
棒振りの衣装で、紅薄地に波や牡丹唐草、兎と唐草、雷紋繋ぎ、雲鶴文様などを段模様にして銀襴織を作っている。文様は江戸時代後期の特徴を見せており、織技もなかな精緻である。腰紐また膝括りの紐に同裂を用いている。裏は白麻地をつけ、丁寧な仕立てである。江戸後期十九世紀前半中頃の制作と推測されている。京都市指定文化財。
薄紅地雲立涌巴紋様絽金裁着袴
棒振りの衣装で、金通しの地の絽織に、縹・白・紅・萌葱の三ツ巴紋を散らして織っている。丁寧な仕立で、江戸後期頃の十九世紀前半の制作ではないかと考えられる。京都市指定文化財。
縹地鱗文様金襴法被
締太鼓(巡柱)の衣装で、縹地に金襴織で鱗文様を織り出した法被である。江戸時代祭末期頃の作と推測される。京都市指定文化財。
白地蟹霰文様金襴半切
締太鼓(巡柱)の衣装で有職文様である蟹霰文様を織り出した半切袴。明治期の作と推測される。
縹地鱗紋金襴当帯
片面を縹地鱗紋金襴裂で、もう片面を白地蟹霰文様を用いて両面遣いに作る当帯。法被・半切と、同裂でと考えられる。棒振りを行う演者の、腰に巻かれるものである。京都市指定文化財。
麻地鱗文様中型染下衣
棒振踊りの際に演者が着る衣装で、縹地鱗文様金襴法被の法被下に着る衣装であると推測される。京都市指定文化財。
木彫胡粉彩色癋見面 / 木彫胡粉彩色飛出面
巡柱と呼ばれる二人一組の締太鼓演者が、頭上に頂く面で、耳穴に紐がかけられる構造となっている。1708(宝永5)年製作。京都市指定文化財。
御神面
参考文献:祭礼の美~石取祭と祇園祭~木彫胡粉彩色癋見面並びに飛出面に代わり、新しく作られ用いられている面である。癋見は、歯を見せずに力強く噛みしめた相で強さを誇示する表情をしている。対して飛出は、口を開け目も大きく目を見開き、明るく歓喜の相を表している。